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劇団四季ミュージカル「ウィキッド」大阪公演マチネ観劇 [ウィキッド]

 今日は、大阪四季劇場でロングラン公演中の劇団四季ミュージカル「ウィキッド」大阪公演マチネを観劇してきた。

 座席は、1階8列目センターブロックの下手の端、所謂前日予約席であった。

キャストは、
グリンダ 沼尾みゆきさん
エルファバ 樋口麻美さん
ネッサローズ 山本貴永さん
マダム・モリブル 原田真理さん
フィエロ 北澤裕輔さん
ボック 伊藤綾祐さん
ディラモンド教授 前田貞一郎さん
オズの魔法使い 松下武史さん

【男性アンサンブル】
清川 晶さん
根本健一さん
齊藤 翔さん
松尾 篤さん
成田蔵人さん
山田真吾さん
村澤智弘さん
田中宣宗さん
内海雅智さん

【女性アンサンブル】
織田なつ美さん
間尾 茜さん
西浦歌織さん
孫田智恵さん
柏谷巴絵さん
小澤真琴さん
花田菜美子さん
荒木 舞さん
増山美保さん

であった。

 主要キャストでは、グリンダ、エルファバ、マダム・モリブル、オズの魔法使いが初見であった。

 今日の観劇は、オリジナルキャストの沼尾みゆきさんのグリンダと、「ウィキッド」大阪公演の製作発表記者会見に出席されながら、登板の機会がなかった樋口麻美さんのエルファバを観に行ったと言っても過言ではない。

 これまで観て来た、苫田さんのグリンダ(陽)-江畑さん、木村さんのエルファバ(陰)という構図に比べて、沼尾さんのグリンダは陰、樋口さんのエルファバは陽にそれぞれ振れていて、コントラストよりも調和が図られているように感じた。原田真理さんのマダム・モリブルのアクが控え目なことも相俟って、一層そう感じられた。

 各キャラクターの織り成すコントラストが緩やかな分、グリンダの苦しみやエルファバの怒りといったものが明確に伝わって来たのは、新たな発見であった。

 沼尾さんのグリンダには、落ち着きとある種の諦観を感じる。彼女は群集がエルファバを謗るのを諦めの目で見ている。ただ、その目の奥には、深い苦しみと悲しみが込められている。第二幕の「この幸せ」で、良い魔女であり続けなければならない過酷な運命を悲壮な覚悟で受け入れる場面など、落ち着きの中に内面の葛藤の激しさを感じさせる瞬間が時折あった。一方の苫田さんのグリンダは、エルファバが悪い魔女に仕立て上げられたことを終始諦め切れてはおらず、時折、苦悶を垣間見せる。どちらが正しい訳でも間違っている訳でもないが、この点は大きな相違であろう。

 樋口さんのエルファバは、第一幕はとにかく陽気である。だが、場を追うに従って、陰の部分と凄みが増して来る。陽気に隠された陰の部分が返ってエルファバの来し方の悲哀を際立たせているようにも感じる。また、迫力のある歌唱で、とりわけ「闇に生きる」は、恐ろしい程決まっており、まさに圧巻であった。

 相変わらず、山本貴永さんのネッサローズには外れがない。第二幕前半は、ネッサローズのためにあるといっても過言ではないが、また今日も心を奪われてしまった。

 ネッサローズは、父には愛されたが、その父は亡くなり、運命の人と信じたボックの心も実は自分の元にはなかった。失意の彼女をエルファバも救い切れず、遂に最期はマダム・モリブルの手で恐怖と孤独のうちに惨殺される。
 一方のエルファバは、少女時代こそ、全くもって不遇であるが、最終的には、互いのありのままの姿を愛し愛される得難い伴侶を得て新天地へと旅立つ。

 結局、「誰にも愛されぬまま独り死んでいった」(誰も弔わない:No one mourns)哀れな魔女とは、実はネッサローズのことではないかと思えてしまう。ウィキッドの登場人物の中で最も報われない運命を懸命に生きた彼女を、今日も心の中で弔って帰ってきた。

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