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(9月22日)東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」大阪公演マチネ観劇 [レ・ミゼラブル]

 9月22日(日)はフェスティバルホールで公演中のミュージカル「レ・ミゼラブル」大阪公演マチネを観劇してきた。
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 座席は5列目センターブロックのど真ん中であり、舞台全体が目一杯の迫力で視野に入る良席であった。

 この日の観客は、ショーストップナンバーの認識が25周年記念コンサートの映像でのそれに近く、比較的積極的に拍手していたのが印象的であった。

キャストは、
ジャン・バルジャン:福井晶一さん
ジャベール:川口竜也さん
エポニーヌ:綿引さやかさん
ファンテーヌ:和音美桜さん
コゼット:磯貝レイナさん
マリウス:山崎育三郎さん
テナルディエ:駒田一さん
マダム・テナルディエ:谷口ゆうなさん
アンジョルラス:野島直人さん
ガブローシュ:鈴木知憲さん
リトル・コゼット:北川真衣さん
リトル・エポニーヌ:清水詩音さん
司教:北川辰彦さん
工場長:田村雄一さん
バマタボア:石飛幸治さん
グランテール:菊地まさはるさん
フイイ:上野哲也さん
コンブフェール:杉山有大さん
クールフェラック:鎌田誠樹さん
プルベール:安部三博さん
ジョリ:篠田裕介さん
レーグル:高野二郎さん
バベ:藤田光之さん
ブリジョン:北村がくさん
クラクスー:萬谷法英さん
モンパルナス:西川大貴さん
ファクトリーガール:三森千愛さん
買入屋:廣野有紀さん
かつら屋:三戸亜耶さん
マダム:本田郁代さん
女:児玉奈々子さん
女:王子菜摘子さん
女:清水彩花さん
女:穂積由香さん
女:島田彩さん
女:山岸麻美子さん

であった。

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 今回も、第1幕終盤の「ワン・デイ・モア」の勢いは凄まじいものがあり、鳥肌がたった。やはり、インターミッションに入ってもしばらく拍手が鳴り止まない状態であった。

 今回の席からは、前回の席では見切れていた部分もはっきりと見ることが出来た。背景の巨大なスクリーンが非常に有効に機能しており、戦闘の場面では、大砲の砲撃により背景の建物の映像が振動するなど、細かいこだわりが光っている。また、下水道の場面なども、背景の転換と俳優の動きの組み合わせが絶妙で、あたかも本当に下水道を歩いているかのような錯覚を観る者に与える。また、ジャベールの自殺の場面も素晴らしく、カット割して編集された映像を観ているような感覚に囚われた。

 第2幕終盤のテナルディエ夫妻が盗もうとした銀の皿を舞台上で落としてしまう場面で、転がった銀の皿の一枚がオケピットに落ちそうになるハプニングがあった。その際、テナルディエ役の駒田さんが舞台の先端に果敢にダイビングし、舞台の縁にしがみつくようにしながら投げ出した右半身で落ちかけた皿を見事に抱え込んでキャッチするという珍事があった。駒田さんは観客のどよめきと喝采を浴び舞台の進行が一瞬中断した。駒田さんが指揮者に一礼をして再開となったが、下衆の象徴のようなテナルディエが最後の最後で英雄に見えてしまったというまさに珍事であった。この光景は実に微笑ましく、長く記憶に残りそうだ。

 次に各キャストについてであるが、
 ジャン・バルジャンの福井晶一さんであるが、ジャン・バルジャンの激しさや温かさといった複雑な人間性を生き生きと見事に表現されていると感じた。福井さんのお名前は以前から知ってはいたが、今日が初見であった。

 同じく初見のコゼットの磯貝レイナさんについては、明確な表現が印象的であった。とりわけプリュメ街でマリウスからエポニーヌを紹介され、過去の記憶の中のエポニーヌと紐付いた瞬間の怪訝そうなやや硬い表情が印象的であった。

 エポニーヌの綿引さやかさんに、今日は釘付けだった。プリュメ街の鉄格子から愛を囁くコゼットとマリウスを見つめる傷心の表情や、ワン・デイ・モアの場面でマリウスに仲間と戦うべきかコゼットと行くべきかを相談される時の切なげな表情、バリケードで天に召されるときの苦痛の中にも安らぎを得たような表情、どれを取っても思わず深い同情を禁じえなかった。

 ジャベールの川口竜也さんの存在感は相変わらずで、やはり圧倒された。他のキャストには一部喉の疲れが感じられる方がいたが、川口さんの歌声には疲れは全く感じなかった。2度目のカーテンコールではテナルディエの駒田さんと息がぴったりでいかにも仲良さげにはけて行った様子がコミカルで面白かった。

 司教の北川辰彦さんであるが、ジャン・バルジャンが銀の食器を盗んだことが分かった後、警官と野次馬が押し寄せて騒ぎとなった中、満面の笑みで事態を収束させ、厳粛な面持ちでジャン・バルジャンを諭し、諭し終わったら再び温かい笑顔を向けるという一連の表現の中で司教の人柄をはっきりと感じることが出来、大変感動した。

 作品全体を通じてであるが、
 バリケードでマリウスはエポニーヌにコゼットへの手紙を託す。この場面、映画版ではマリウスはガブローシュに手紙を託している。原作では、マリウスはまだ子供であるガブローシュの身を案じ、危険なバリケードから安全な場所に逃すために敢えて手紙を託している。おそらく、映画版では原作に忠実にガブローシュに手紙を託したのであろうが、舞台版においてもマリウスはエポニーヌに同じ思いから、手紙を託していると思われる。それ故、エポニーヌが戻ってきたときにマリウスは「何故戻って来た!」という言葉を発するのだが、新演出版ではこの部分が「いつ戻って来た」という台詞に置き換わっていて、この点は原作でのマリウスの真意から遠のいたように感じた。ここは、「何故戻って来た!」がマリウスの心情としては正解なのではないか。しかし、エポニーヌがマリウスを庇って撃たれるという結末は原作に忠実で、エポニーヌの払う犠牲が明確に表現されているように感じた。

 レ・ミゼラブルは、制作費に巨費を投じるいわゆるメガ・ミュージカルといわれる作品の代表作の一つであるが、本、楽曲、セット、衣装、オーケストラ、俳優のいずれをとってもその名に恥じぬ素晴らしい仕上がりであった。大阪公演は長らく行われておらず、今回の大阪公演で初めて観ることが叶った。凄まじいエネルギーを感じる作品で、何年も待った甲斐があったのは当然のこと、次にこのような作品に出会える機会はあるのかとさえ思ってしまった程であった。この作品がまた大阪で公演される日が来るのを楽しみに待ちたいと思う。



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